メモリプール航海記

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MEV 仕組み メモリプール:取引の順序が価値になる理由

編集部 · 更新 2026-10-14 · 5 分で読めます

MEVの仕組みは、「送信された取引がブロックに入るまでに、順序を決める余地がある」という一点から始まります。取引はメモリプールなどの待機領域で他の参加者に見え、並び順は手数料や特別な経路によって変わります。その順序から得られる差益がMEVです。

取引が確定するまでの流れ

ブロックチェーンの取引は、署名して送信すれば即座に確定するわけではありません。大まかには次の順で進みます。

  1. 利用者がウォレットから取引を署名し、ネットワークに送る
  2. 取引がノードの待機領域(メモリプール)に入る
  3. ブロックを作る参加者が、手数料などを基準に取引を選び並べる
  4. ブロックが承認され、取引が確定する

2から3の間が「見える時間」です。この間に待機中の取引を観察し、有利になる取引を自分で出すのがMEVボットの基本動作です。

メモリプールの役割と限界

ethereum.orgの解説によれば、MEVの機会は公開された取引の情報から生まれます。待機中の大きなスワップ(交換)があれば、その影響で価格がずれることが予測でき、先回りや後追いの余地が生まれます。

一方で、メモリプールは万能の情報源ではありません。ノードごとに見えている内容が異なり、誰かが非公開の経路で取引を送れば観察できません。観察できたとしても、実際に自分の取引が狙った位置に入るとは限りません。

要点:メモリプールは「見えている取引の待合室」にすぎません。見えること、狙えること、実際に順序が取れることは、それぞれ別の問題です。

順序を取りにいく手段

手段 内容 注意点
手数料入札 高い手数料を払って優先される 負けた場合のコストが読みにくい
バンドル 複数取引を一つの束として提出する 参加者が限られる
非公開の送信経路 メモリプールに載せずに送る 経路の提供者を信頼する必要がある

Flashbotsのドキュメントでは、サーチャーがバンドルを作り、ビルダーを通じてブロックに入れる構造や、取引を公開メモリプールに出さない保護機能が説明されています。Solana側では、Jitoのドキュメントがバンドルとチップによる優先の仕組みを扱っています。ここでも、チェーンごとに設計が違う点が重要です。

MEVボットが現れる位置

MEVボットは、この流れの中で「機会の検知」「取引の作成」「提出」を自動化します。種類はMEVボットの種類を整理した記事で分類しました。アービトラージなら価格差を、清算なら担保率の悪化を検知します。

提供側の説明を見ると、CryptoMEV Botの日本語ページは、メモリプールと板情報のリアルタイム走査、プリセット戦略、ストップロスなどの設定を特徴としています。ただし、具体的にどの経路で取引を提出するのか、手数料入札の方針はどうなのか、といった技術的な詳細は同ページに書かれていません。仕組みの深さを重視する方は、購入前に確認したい点です。

仕組みを知ると見えるリスク

順序を競う構造では、速さ、情報、資金力が有利に働きます。個人が後から参加する場合、勝てない取引に手数料だけが出る可能性があります。また、一般の利用者側から見ると、自分のスワップが他者の標的になるおそれがあります。守る側の対策はスリッページ設定を含む対策の記事で扱います。

仕組みを理解することは、儲け方を知るためというより、何にコストがかかり、誰が不利になるのかを正しく見積もるために役立ちます。

チェーンごとの差と、ボット提供側の説明の読み方

メモリプールという言葉は、イーサリアムの文脈で使われることが多く、他のチェーンでは名前も構造も異なります。たとえばSolanaでは、取引が公開の待機領域に溜まる形ではなく、ブロックを作る役のノードへ直接送られる経路が中心です。そのため、イーサリアムの解説をそのままSolanaに当てはめることはできません。

提供者のページを読む際は、「メモリプールを分析する」と書かれていても、実際にどのチェーンで何が観測できるかを自分で確かめる必要があります。CryptoMEV BotのSolana向けページには、対象DEXの名前や、手数料が1取引あたり0.01ドル未満という説明がありますが、観測の方式までは書かれていません。トップの日本語ページも同様で、技術の詳細を知りたい場合は、購入前に問い合わせて回答を記録しておくとよいでしょう。チェーン固有の話はSolana MEVボットの記事にもあります。

よくある質問

メモリプールとは何ですか?

送信されたものの、まだブロックに取り込まれていない取引が待機する領域です。ノードごとに保持され、手数料の高い取引が優先されやすい構造になっています。

すべてのチェーンにメモリプールがありますか?

設計はチェーンごとに異なります。イーサリアムには公開のメモリプールがありますが、Solanaは構造が違い、取引の受け渡しの経路も異なります。同じ前提で語れない点に注意が必要です。

サーチャーとビルダーは何が違いますか?

サーチャーは機会を探して取引の束(バンドル)を作る参加者で、ビルダーはそれらを集めてブロックを組み立てる参加者です。役割が分かれているのが近年の構造です。

MEVはなくせますか?

取引に順序がある限り、価値が生まれる余地は残ります。そのため、なくすというより、利用者が被害を受けにくい形に設計を変える議論が続いています。

出典